猛暑だから!今から冬に向けて出来ること。前編


暑い!!

もう溶けそうに暑いですね。

院の窓を開けると吹き込む熱風、、、。 大音量のセミの声。

もう朝からして、白くて干上がりそうな強い陽射し。

カンテレのハチエモンも溶けるんじゃないか?

正に猛暑というのがふさわしい一日のスタートです。

 

猛暑ってことで、お題の事について書いていきますか。

「今が暑いんじゃ。何とかしてくれ!」とか

「何か熱中症を治すツボとか教えれ!」とか

そんな声が聞こえてきそうではありますが、ツボにせよ薬膳にせよ、東洋医学を使った暑さ対策の知恵ってのは、たぶん検索したら色々出てくると思いますし、(リクエストがあればまた書きますよ)

ここでは、敢えてこの夏の過ごし方次第で、冬になってからの体調が違ってくるよっていう事をお伝えしたいと思います。

 

・毎年秋~冬にかけて、特に体調が悪い

・冬の間はずっと風邪ばかりひいている気がする

その様な方は読むと役に立つかも?

 

夏真っ盛りなのに、今から冬に向けての話なんて、、、。

なんて事は言わずに、実はその内容こそが、中医学の面白みや神髄に触れるところですので、どうぞ最後までお付き合いください。m(__)m

 

◎『冬病夏治』について

東洋医学のあまりにも有名な言葉に『冬病夏治』または『夏病冬治』があります。

「冬にかかる病は夏のうちから治療しましょう。」

「夏の間にかかる病は冬のうちから治療しましょう。」

という意味合いです。

上海の病院で実習していた頃、夏の暑い暑い時期におもしろい光景を見かけました。また、私自身も何日間かはその治療で大忙しだったのを覚えています。

それは「夏の期間限定!小児喘息灸治療」なるものです。

喘息は乾燥する秋や寒い冬にひどくなる事が多く、夏の間は小康な事が多いです。

にもかかわらずですよ。炎天下の最中、小児喘息の専用外来が設けられて、痩せて体の弱そうな子供とそのお母さんとが長い行列をつくって受診していました。

子供たちが20人くらいベッドでうつ伏せに寝ており、背中の喘息に効くツボに、片っ端から薬のお灸をしていきます。

なんと、秋冬に喘息が軽くすむように、夏のうちからせっせと治療をしていたのです。

これこそが中医学の『冬病夏治』を地でいっているのだと思いました。

秋冬の喘息を夏の間に治療するというのは『冬病夏治』の一番有名な例ではないでしょうか。

普通に日本で生活していて、冬の体調の為に夏のうちから気を付けてケアをするという発想はなかなか無いのでは?と思います。

 

◎『温病学・伏暑』 について

中医学には「温病学」という学問がありまして、これは発熱を伴う疾患や感染症を専門に治療する為のロジックであります。

温病学について詳しく書いてると大変なので、興味がある人は Wikipedia先生に聞いてみましょう。

その温病学の中に「伏暑」という病があります。

「伏暑」は読んで字のごとくなのですが、体に埋伏していた暑邪(夏の熱気)が晩秋~冬にかけて体に悪さをして発熱する病です。

ウイルスや菌でもないのに、何だか潜伏期間みたいな感じですね。おもしろいですね。

潜伏期間にしても、そんな長い時間、体に熱気がこもって隠れてるのか?なんておかしく思いますよね。

当然、中医学ではその様に考えて薬を処方したり治療したりするとうまくいくのですが。

 

◎『冬病夏治』『温病学・伏暑』の言わんとするところは

要は、

夏の間に不養生や不摂生をして体力を落としてしまうと、秋冬に病気にかかりやすくなりますよ。

という当たり前の事を戒めたり、

夏の間の過ごし方や養生の仕方が秋冬の体調や病気に大きく関わってきますよ。

という事を教えてくれているのだと思います。

 

また、これらは、東洋医学の治療にはある程度の時間や根気が必要な事も示唆しているように思います。

東洋医学の治療において、特に体質の改善や内的な疾患を根本的に治療しようとする時に、一回の治療でたちまち快癒するという事はほとんどありません。

それ故に、患者本人も治療者も、根気強く病に向き合ったり、先を見越して早めの治療を心掛けたりが必要なのだと、その事を教えてくれているのかなと思います。

 

冬に体調を崩さない為に、猛暑のうちに出来る事、気を付けられる事、

それらを後半で、少しばかり紹介したいと思います。

 

→後半へつづく